一気に読める、人生の応援歌

作者は第一線で活躍してきた芸能人、
読書家ですが、
この小説は芸能界を暴露するようなものでは全くなく、
あくまで芸能界を舞台とした、
３人の女性の生き方を中心に描かれた作品です。

ストーリーはある映画の撮影が舞台ですが、
登場人物のキャラクター分けも明確で、
内容も読み進めていくうちにきちんと展開していきます。


映画の撮影風景の描写や登場してくる個性豊かな芸能関係者は、
さすがに芸能界に身をおく作者だけあって、
かなりのリアリティーです。

それだけでなく、
登場人物の職業や経歴、
また本のタイトルにもなっている「ティンホイッスル」がストーリーの重要な伏線となっていたことがだんだん明らかになってくる仕掛けで、
正直うまいなあ、
と思います。

「芸能人が書いた小説」という先入観でこの小説を読むと、
逆にこの小説の本質を見誤るような気がします。


この小説が言いたかったことについての解釈はいろいろあるでしょうが、
私は「人間は自らの心の声に従うことが一番幸せではないか」ということではないかなという気がしました。


テンポよいストーリーで、
一気に読める人生の応援歌。
そんな小説だと思います。