歌の巧さとカヴァーの魅力とは

美人ですし、
器用でどんな歌でも上手く歌えるのは利点ですが、
それは果して優れた個性なのでしょうか。
そんな感想が最後まで付きまといました。


ちょっと聴くには「島唄」は見事な歌唱のように伝わることでしょう。
ただ、
楷書風の「島唄」には、
沖縄の風や自然の匂いは伝わってきません。
同じ真似事ではあってもTHE BOOMの歌唱に感じられる独特の風合いと違うのは明白です。
カヴァーの難しさがここにあります。


♪ウージの森であなたと出会い♪のメロディの音程が違うのは「点数のでるカラオケ」の弊害でしょうか。
夏川りみやTHE BOOMの歌唱に慣れた耳にはメロディの違いは違和感が残ります。
多分、
音程をはかる機械の旋律線がオリジナルの旋律とは違うからなのでしょうね。
音程に定評のある彼女ですから間違っているのではないでしょうから。

また点数を極めるには正確な音程をたどる歌唱が必要になりますが、
「島唄」は音程の揺らぎが味わいですから、
眞逆の行いなのでしょう。
正確だからといって歌が素晴らしいわけではありません。


「夏祭り」の少し落ち着いたテンポの歌唱は一つの味わいとして受け取りました。

ただ、
オリジナルのJITTERIN’JINNやカヴァーのホワイトベリーのスピード感や躍動感もなく、
歌詞にある様な過ぎゆく夏への感傷も「打ち上げ花火」から伝わる消えゆく思い出も感じられないですね。
音程は正確ですし、
こぶし回しから歌の巧さも感じられるのですが。
ひと夏の青春の輝きや切なさが欲しかったところです。


ZONE の「secret base 〜君がくれたもの」もそうでした。
歌はハートで歌うもの、
という感想を持ちました。
オリジナルを凌駕するカヴァーというものは、
上手さだけでは克服できないものがあるのです。
なお、
キーをオリジナルよりも上げて歌っていますが、
オリジナル・キーでは駄目だったのでしょうか。
雰囲気をだすために必要だったのでしょうか。