スマホ・ソーシャルゲームから生まれた新しい基準を理解できる

今勢いのあるソーシャルゲームに使用されるイラストのコツに的をしぼった本、

ということで気になって予約しておいた本書が昨日届いた。

手にしてみると装丁はしっかりとしていて教本にしては224ページということもあってか厚い、
マット紙のカバーは手触りがよい。


まずパラパラとめくってみると、
とにかくイラストが多い。

それに対して、
文章・注釈は必要最低限に心がけた雰囲気が伝わる。

個人的に教本では文字を読みたい、
というタイプの自分にとっては物足りないように感じたが、
イラスト目当ての人向けということなんだろう。

イラストは美少女・美男子アニメ系一辺倒というような内容を想像していたが、
ドラゴンから乙女系まで幅広く扱われていた。
なるほど、
ソーシャルゲームのイラスト解説本という編集の意図を鑑みれば、
自然とこういうラインナップになると妙に納得してしまった。


大きい内容としてはキャラクターの「ポーズ」、
「デザイン」、
「配色・彩色」、
「仕上げ」というチャプターで内容が分かれている。
これは実際に「仕事」としてのイラストを描くプロセスそのものを意識して構成したのだろう。

この４つのチャプターそれぞれの末尾には実際に絵を描いて仕事をしているであろうクリエイターのメイキングが載っている。

メイキングの部分はかなり大味で詳細がわかりにくいが、
ふわふわしたイメージから完成までをテンポよく見せることに大成功しているように思う。

「デフォルメ戦国少女を描く！」というメイキングはパズドラ、
モンスターストライクのようなイラストの出来上がる様が判り易く説明されており、
とても興味深い。


おそらく、
この本を一番掛け値なしに楽しめるのはスマホゲーにどっぷり浸かっている方々ではないだろうか。

普段ゲームのキャラクター達がクリエイターによってどう生み出されているのか、
その過程について思いを寄せることはあまり無い。
しかし、
この本に目を通してからスマートフォンのゲームなどをやると少々見え方が変わってくるように思う。

生み出す側、
クリエイターの工夫の機微・断片のようなものを感じられ、
キャラクター達にだんだんと興味が湧いてくる。