教室に安心感をもたらすために

本書は、
前著『先生のためのアドラー心理学―勇気づけの学級づ
くり』の続編にあたる本であるが、
本書では、
教室に安心感をも
たらすための学級づくりについてまとめられている。
したがって、

アドラー心理学の理論や理念の直接的な記述は見られないものに
なっている。


本書は４章構成になっており、
第１章では子どもが学校に求める
ものについてや、
安心感の必要性などがまとめられている。
第２
章では、
学級づくりには特効薬がないこと、
各先生方が持ってい
るワザを、
実践を通して磨いていく必要性があることなどが書か
れている。
第３章が本書の中心となっていて、
クラスに安心感を
作るための楽しい雰囲気作り、
ルール作り、
認め合いのシステム
化、
クラス会議、
緊張感を持たせることなどが、
具体事例ととも
に紹介されている。
そして最後の第４章では、
当たり前の日常の
質を高めていくことなど、
普段の心構えなどがまとめられている。


本書の特長は、
やはり第３章にある。
小学校教諭を長年経験され
た著者が実践されてきからこそ、
簡潔に、
そして具体的に、
教室
に安心感を作り出すための活動が紹介されているのが有難い。
そ
して、
これらを単に「かたちだけ」しても、
その波及効果は少な
く、
子どもたちの日々の実態に応じて、
適切に、
教師がワザ化し
たものとして実践することが大切、
という指摘は、
まさに正鵠を
得たもので、
説得力も高い。


クラス経営をする際に、
子ども同士の関係を作っていくことは、

非常に重要なポイントである。
教室に安心感をもたらし、
お互い
が間違いや失敗を認めあえる受容的な雰囲気を作るために、
本書
は役に立つだろう。