「いま」の自分に寄り添ってくれるのに、甘やかしてはくれない本でした。

実行せよ、
数年先を見よ、
とはよく耳にするが、
「やりたいことが決まっていなくても大丈夫」というメッセージは滅多に耳にしないように思う。

この本は、
やりたいことが既に決まっている人だけではなく、
未だ定まっていない人へ向けても、
大丈夫と語りかけ、
起こすべき行動を提示してくれる、
指導書や啓蒙書ではなく、
「寄り添い、
励ましてくれる書」だと思う。


そして、
不遇である人への、
現在からの飛び出し方だけではなく、
今充足している人が何故充足しているのか、
ひとえにその「運」とも呼ばれるものが如何なる積み重ねで成り立っているのかということに、
羨望するのではなくやり方を知るべきである、
と気づかせてくれる。


読み始める前には、
自分のように目標の曖昧な人間が読んでも、
「発車」できるのだろうかと思っていた。
しかし、
読後には、
あらゆる立場の人に、
「大丈夫」と呼び掛けてくれる本であったと感じられた。


著者の方は、
このなかで、
「大丈夫」と「ありがとう」のサンドイッチを作ろうと語られている。
そしてこの著作自体が、
実際にそのサンドイッチの仕掛けとなっている。

あらゆるページに、

「大丈夫だよ！」
が散りばめられ、
そして最後に特大の「ありがとう」として、
ご自身が背中を押してきた、
あるいはご自身に続いてきた方たちのチャレンジが語られている。
著作の中で語られたことは、
この著作自体で示されている仕組みであったと気がついたとき、
自分の目の前にサンドイッチはいつでもあるのだな、
と思った。


だからこそ、
読み終えたときに著作から溢れるエネルギーに気後れすることもなく、
かといって猪突猛進に発車しようと俄然奮い立つのでもなく、
停止だけはせずに、
自然体で進んで行くこと自体がすでに「見切り発車」の一つである、
として自分自身の現実に立ち戻り、
気持ち良く見つめ直し考え直すことができた。