桐壺、若紫以外のところも読んでみよう！

　収録されている文章は高校の筑摩書房「古典講読『源氏物語』」とまったく同じである。
（源氏のおおまかな話の流れがたどれる。
）ただし、
こちらには全文の現代語訳が付いている。
（この現代語訳は過度に文学的でもないし、
逐語訳的でもない、
中庸を得たものだ。
）それから、
要所要所に主語等に当たる語を添えてくれているし、
脚注、
リード文、
補説、
図版等も充実している。
　源氏の原文といえば、
高校で「桐壺」の冒頭と「若紫」くらいしか一般に読まれないので、
ぜひともこういう本を手がかりにしてもっと原文にも親しんでほしいと思う。
どれも名場面ばかりだが、
親の情愛を描いた「薄曇」における明石の君と幼い娘（後の明石中宮）の別れの場面など（ともすれば源氏といえば男女関係ばかりに焦点がしぼられるが）、
じっくりと読んでみてほしい。