人間社会が見える。
逆説的な表現ですが、
この作品は動物社会を描いているので、
人間社会の仕組みやその矛盾が手に取るように分かります。
共産主義が最終的に陥る結末を見事なまでに見せつけています。
彼が生きたのが1903-50であったことを考えれば、
恐るべき先見性です。
またこの時代は植民地主義時代、
帝国主義時代だった訳ですが、
インドに生まれた彼はこの思想に対する批判も忘れてはいません。
風刺作品としては、
他に類を見ない傑作だと言えましょう。
しかも A Fairy Story と書くだけあって、
とても読みやすいです。
内容的側面からみても、
言語的側面から見ても。
内容的には、
動物たちがとてもユニークな個性を見せていて、
しかも種類ごとに、
人間社会での階層が割り当てられていて、
人間社会と照合しながら読むことができます。
一匹ごとの、
人間社会でのモデルも何となくですがわかります。
「これはスターリンみたいだな。
」
「あ、
これはチェカ(非常委員会)だな。
」と言った感じで。
言語的にも、
そう難しくは無いと思います。
私は高校2年生の時に、
夏休みの課題文として初めて読みました。
高校生か、
大学生ぐらいならば十分理解できると思います。
そして、
上記の年齢層の人に一番読んで貰いたい本です。
私自身もそうなのですが、
共産主義の実感がわかない年齢、
ソ連崩壊の時に幼稚園や小学校低学年だった年齢の人にです。
共産主義の破綻を知ってから歴史を勉強してしまうと、
何でその思想に多くの人が走ったか分からなくなってしまいます。
ですが、
少なくとも私の父母の時代には、
理想的な思想だとして、
共産主義を称えた人も、
知識人を中心に多くいたそうです。
どうして共産主義が生まれたのか、
その原点に帰ることで、
現代社会の矛盾が、
少しですが見えてくる気がします。
私の一人よがりなのかもしれませんが・・・・。
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