常に手元に置いておきたい良書

現実にあるデータとともに統計学は発展してきたことを実感することができる良書である。


目の前のデータから、
何らかの有益な情報を得たいと考えている方々にとっては、
データに対してどの理論（モデル）を適用すれば良いのかを知りたいだろう。


この本は、
まっさきにそれを教えてくれる。


まず、
データがあり、
統計的にどう扱えばよいのかを、
丁寧で分かりやすい言葉とともに展開していく。

先に問題があり、
確率論・統計学を道具にして、
結論に導く。


多くの参考書では、
理論が先にあり、
それを利用する場面を例に出すため、
統計学を利用したい方は、
自分が抱える問題と近い例を探し、
その理論を模倣することになる。

そのため、
初学者にとっても理解が難しくなる。


しかし、
この本は、
逆である。

まず問題が提起される。

そして、
その問題を料理するための道具が用意される。

最後に出来上がった料理が並べられる。


内容は、
２部構成になっており、
前半は確率論、
後半は統計学である。

一般に確率論と統計学は混同されやすいが、
この本では明快に分けてあるため、
確率論と統計学の境界、
そしてその関係について明快に理解できる。


各章では、
その章で扱うテーマに対応する容易な問題から説明が始まり、
章の終わりに近づくにつれて徐々に複雑な問題へと続く。

各章の最後には、
実際に現実社会にある複雑な問題が演習として用意されているが、
章を読み進めた読者であれば、
その問題の扱い方が閃く。


細かい点であるが、
文章のフォント、
図表の表現なども、
非常に見やすく、
これも高評価のポイントである。


確率論および統計学の感覚を養いたい読者に対し、
自信を持ってお薦めできる良書である。