開発援助に興味を持つ入門書として

黒田現日銀総裁がアジア開発銀行(ADB)だった際に書いていた論考をまとめた一冊。

本書は二部構成で、
第一部が「アジアの辺境から島嶼まで」と称し、

アジア諸国の現状とADBが開発のためにどういった活動を行っているかの紹介、

第二部が「世界危機ノート」として世界の経済状況とその中でのアジアやADBの位置づけを述べた内容となっています。

各部ともテーマ別に章立てされており、
1章は15ページ程度と分量も適量で非常に読みやすいです。


黒田氏の日銀総裁としての活動は第二部の内容により近いものですが、
本書で特に面白かったのはむしろ第一部の内容。

中国、
インド、
東南アジア諸国、
モンゴル、
アフガニスタン、
ウズベキスタンなど特定の国が挙げられており、

各国の歴史、
開発における問題点、
ADBの支援内容がまとめられています。

ADBの活動は総裁の立場で書かれていることもあり、
総論的な内容で多少物足りない面もありまですが、

アジア各国の歴史や経済状況、
開発援助とはどういったものなのかを把握することができ、

こうした話題に関心がある人にとって有益な一冊だと思います。