八九寺らしいone and onlyのヒロイン本は成功

物語シリーズの中でも特別特異な魅力を放つヒロイン：八九寺真宵ちゃん。
快活で頭が良くて自分で考えて行動しながら笑って怒って泣く、
感情豊かな美少女。
両親が離婚した揚句、
小学五年生の時に車に轢かれ、
思いを残しながら亡くなってしまったかわいそうな子。
全ヒロインの中で一番「守ってあげなきゃ」と読者の涙を絞った女の子かもしれない真宵ちゃんは、
どのようにヒロイン本に登場するのか？
羽川さんのヒロイン本とは大きさと厚さが同じだけで、
全くスタイルが違うのに驚いた。
まず表紙の紙の選択が秀逸。
自分が小学生の頃に使っていたスケッチブックの表紙を思い出す、
ボール紙チックな紙はとてもノスタルジック。

でも、
中には生き生きとしたコンテンツが詰まっている。

目次も何もなく一気に始まる絵本「まいごのかたつむり」（文：西尾維新、
絵：針玉ヒロキ）[9頁]が良いお話で、
最初に八九寺と読者を救ってくれる。

地縛霊、
浮遊霊、
そしてしっかり生きている21歳の真宵の姿は、
BIOGRAPHY[2頁]、
マヨイギャラリー[4頁]、
まよい日誌[8頁]、
まよいのいらすとぎゃらりー[8頁]で堪能しよう。

総作監修正多数のまよい原画集[2頁]を見ながら、
それがアニメのどこのコマか当てるのも宵、
じゃなくて、
良い。

「人物相関図＆キーワード」[2頁]で真宵を見ていない人、
知らない人を復習。

インタビュー系は3本。

・原作者：西尾維新氏と作曲担当：神前暁氏のずいぶん気の合った「創作家としての悩み打ち明け対談」[6頁]にはOPやEDのカット多数も収録。

・セカンドシーズンEDテーマ「アイヲウタエ」春奈るなさんへのインタビュー[2頁]。

・「演じることによって真宵ちゃんの深い心情を考えたからこそ、
自分の中身も考え方もどんどん変わっていけたと思っています。
」との、
真宵の声担当：加藤英美里さんの心のこもったお話[4頁]。


レビュアーの一番のお気に入りは「まいごのかたつむり」と、
まよい日誌の中の「子供の頃に、
知らない人から親切にされたことがあってさ。
知らない人には親切にしようと決めているだけなんだ」と語る21歳の真宵嬢のアップ画である。
いかん、
書いていて画面が滲む。

八九寺のヒロイン本、
確かに受け取った！