実際彼女にお会いしたいと思うでしょう

東北大震災で３００人以上の犠牲者の方のご遺体をボランティアで復元された方の著書ですが、
全８章のうち５章までは震災とは無関係の方々との出会いを記されています。


彼女の文章を読んでいると、
亡くなられた方ばかりでなくご遺族の方に対しても、
彼女がどこまでも誠実で思いやりにあふれ、
感謝と愛情と尊厳に満ちていることがよくわかります。


岩手在住の彼女と、
近畿に住む私との間に接点があることはきっとないと思いますが、
私や私の家族の旅立ちの時には彼女に是非お世話になりたい！と心底思いました。


彼女の文章を読んでいると、
家族と愛情豊かに誠実に暮らしていれば、
きちんとお別れ出来る時には、
『死』は恐ろしいこと、
悲しいことばかりでなく、
晴れやかにお別れ出来るものなんだな〜と感じました。


彼女の文章はどこまでも優しいので、
ご遺体の損傷がどの程度ということの説明もショッキングな文章ではありませんが、
それでもなかなかに壮絶な絵が想像できる場面もあります。
自殺はやめておくように、
という部分だけでも、
もっと多くの方に知って欲しいことです。
特に屋外での首つり自殺の場合のご遺体の損傷具合は、
知っていれば自殺が随分減るかもしれないと思うくらいです。


彼女のしている復元については、
具体的な様子はわかりません。
死後硬直で固まってしまったご遺体でも、
するするとほどけているように見えるくらいにすんなりと離すコツがあるそうですが、
具体的な方法は書かれていません。


ウジ虫が湧いても白骨化しても復元するのは自分くらいかもしれない、
と書いてらっしゃいましたが、
東北大震災ではきっとそのようなご遺体が本当にたくさんだったのでしょうね。
今まで生きていたその人のことがいくら大好きでも、
そのようなご遺体ではきちんとお別れ出来ず、
そういう自分を責めてしまう。
そういうご遺族の辛さもよくわかるように思うし、
ご遺体を傷めないように冷たい水で何回も何回も洗髪して海藻や砂を洗い流す著者の優しさに、
全く無関係の私だけど、
心から「ありがとう、
ありがとう」という言葉があふれて来ました。