東京裁判と歴史修正主義の概略がよく分かる講演録
本書は、
2018年11月11日に行われた「日本人の歴史認識と東京裁判」という名の講演会から、
吉田裕氏の講演を収録したものである。
その講演では、
吉田氏が東京裁判や戦後の歴史修正主義について、
文献を豊富に引用しながら、
分かり易く説明している。

東京裁判は確かに様々な問題点を抱えていたが、
後の国際法の発展の為には、
少なからぬ意義があった事、
戦前・戦中の日本は基本的に親米・反英であった事、
ウォー・ギルト・プログラムには一貫した計画性が無く、
効果も大したものではなかった事など、
目から鱗が落ちるような興味深い事実が多い。

後半では歴史修正主義について説明しているが、
その一翼とも言える靖国神社の落ちぶれようは酷いものだ。
天皇の参拝もなく、
遺族・戦友の参拝も激減しているとあっては、
最早存在意義も乏しくなっているのでは。
歴史修正主義も終わりに近づいていると言えよう。

吉田氏のようなまともな歴史家の発言には信頼感・安定感がある。
歴史修正主義者側には1人もいない人材だ。
日本人の歴史認識と東京裁判 (岩波ブックレット)

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