北野流ヴァイオレンス映画の到達点

北野武初となるヴァイオレンスエンターテイメント映画。
初期の暴力三部作は暴力と静謐な狂気が混然一体となった作風であり、
商業路線から遠かった。

抗争で親分を殺され自らも日本を追われた昔気質の武闘派ヤクザが死に場所を求めてアメリカに渡り仇花を咲かせる。

主人公が死に急ぐというプロットはソナチネ、
HANABIに共通している。

事故後で衰えたとは言えビートたけし演じるヤクザの狂気じみた雰囲気と暴力性は健在。

腹違いの兄弟を意味するブラザー、
義兄弟を意味するブラザー、
肌の色が異なるブラザー。

イタリアンマフィアとの抗争、
縄張り争いから生じる報復、
次々に殺されていく仲間たち。

割れたビンで目を突いたり、
指詰め、
腹切り、
鼻割り箸という痛みを伴う暴力シーンが散見される(現在なら間違いなくＲ１５指定だな)。

日本パートで印象深いのは故大杉漣氏が演じた原田でしょう。
子分や家族という守るべき者がいる立場で兄弟分の山本と袂を分かち敵対組織に降るも、
やはり外様であることが拭えず悲劇的な末路を辿る。

あのシーンで平然とメシを食らう六平直政氏。
豪胆なヤクザ者にしか見えない。

大組織の親分を迫力満点で演じた渡哲也氏のドスの効いた演技。
ワンシーンのみの出演はもったいない。