ザ･昭和、邦画史に永久に刻まれるべき感動の名作

日本経済が農林水産業や製造業等からサービス業等の第三次産業化が急速に進む過程で女性の活躍の場が広がって行った。

先ずもって今から50年以上前の昭和40年に、
衰退する常磐炭鉱で街の再生を賭けて取り組まれた｢常夏のハワイを丸ごと持ってくる｣と言う壮大な常磐ハワイアンセンター計画が凄い。
フラガール訓練の前に、
奇想天外な計画の実現に岸部一徳の様な当事者の方々のご苦労を思うに想像を絶するものだったろう。

彼女達の頑張りの背景には映画にもある計画に否定的な意見を乗り越えて、
プロジェクト実現に真剣に取り組んだ方々の存在が有ったに違いない。

松雪泰子を招き入れ、
温水プールドームやリゾートホテルを建設し、
ヤシの木を植え、
そして日本人のフラガール、
その全てを外国資本に頼らずに一から創ったのだ。
その圧倒的なエネルギーこそ日本人のDNAなんだと感じさせる魂の作品だ。

ストーリーは良くも悪くもお約束だが、
現役ダンサーの演舞指導により、
ラストのステージは身の毛のよだつ完成度でそれだけで十分価値がある。
ソロの蒼井優をはじめ、
途中のドタバタからは想像できない演者達の躍りは拍手喝采ものだ。
そこには神々しいまでの美しさが溢れていて、
実話のチカラと製作スタッフの努力に心から涙が込み上げてくる。

ダンサー以外では、
いつもは優しい役が多い富司純子の昭和の強い母親像が特に印象的。
彼女の娘を思っての心情変化は強く心に響いた。

いつの時代も未来を信じて飛び込む人々が歴史を造ってきた。
多くの地方テーマパークが行き詰まる中、
3.11震災後の今も元気に営業を続けるスパリゾートハワイアンズには、
ビジネスで割り切る投資家には思いも至らない地元住民の方々のプライドが宿っているのだろう。

本作は昭和人の逞しさと心意気を語る神話として、
永久に日本映画史に刻まれるべき感動の名作だ。