大人が読んでも面白い

中学生以上向け、
となっていますが、
姉妹書である例解 新国語辞典に比べると解説などは少し難しくなっています。
「例解新国語辞典」が小学５年〜高校生・一般社会人位をターゲットとして書かれているとするなら、
この「例解新漢和辞典」は中学２年生〜一般社会人をターゲットにしている、
と言えるでしょうか。
違いは二つの辞書を開いて５ページも見ればすぐにわかると思います。
「例解新国語辞典」は「やさしく、
丁寧に」書こうとしているのに対して、
「例解新漢和辞典」の「編者から一言」は一般人というよりも「漢字学者」に向けて書かれているかのような文章になっています。


書店の店頭でこの辞書を手にとってページをパラパラとめくると、
漢和辞典としては珍しくイラストが載っていることに気づくでしょう。
イラストは「漢字に親しむ」、
「故事のはなし」というコラムにつけられています。
「漢字に親しむ」というコラムは漢字に関する豆知識が載っています。
「故事のはなし」は慣用句に使われている故事をわかりやすく説明しています。
特に、
「故事のはなし」は高校、
大学を卒業した社会人も、
漢文で習ったり、
中国歴史小説で読んだことのある故事と慣用句がどのように結びついているかの再確認することができて楽しく読むことができると思います。


巻末の付録は、
この辞書の「編者からの一言」や、
他の漢和辞典の解説に出てくる漢字学者向けの用語の基礎を知ったり、
日常使われる十干十二支の解説、
活字と筆写の字形の違いについての基礎について、
一般人がわかるように解説されています。


電子辞書に搭載されている「漢字源」や「漢語林」にくらべると小さな辞書ですが、
社会人の「辞書読書」向けには手ごろなサイズですし、
前述の「故事のはなし」など、
社会人が見ても楽しくためになる辞書だと思います。
「電子辞書」のコンテンツ向けというよりは「紙で読みたい」辞書といえます。