『怖くて美しい』と言うより観念的“キリスト教神話世界”の絵画表現.

このページの「商品の説明」には、
「本書は、
２０１４年２月に刊行した『怖くて美しい世界の名画』の第２弾企画で……『天国と地獄』『天使と悪魔』『最後の審判』を描いた絵画を数多く掲載し、
その魅惑的な世界を、
余すところなく紹介……背景にある聖書の物語や文学も紹介し、
ビジュアル的にも美しく、
読み物としても楽しめる一冊」とあるように、
表紙カバーにボッティチェッリなども題材とした聖書外伝のヒロイン「ユディト」で、
ヤン・マセイスが描いた『ユーディット』（アントウェルペン王立美術館）を展開した前作『怖くて美しい世界の名画 (綜合ムック) 』の続編である。
ただ通読しての私見だが、
前作ほどの明確なコンセプト、
タイトル通りの『怖くて美しい』が展開されているようには見えない。
前作で展開された「イ ヴ」、
「サロメ」、
「ダナエ」、
「ユディト」などを題材とした諸作品ほどの新鮮さや構成・レイアウト等の工夫が見えない。
掲載絵画が小さいということもあるが、
部分図や拡大部分、
テキスト解説の指す当該絵画の位置等が判りにくいものが散見される。
また最も感じるのが、
『怖くて美しい』と言う本書の趣旨（タイトル）と客観的に見える作品構成の“キリスト教神話世界”と言うべき物理的・質的乖離である。
前作の続編としても、
『怖くて美しい』と言うタイトル・コンセプトは疑問の残るところで、
副題そのもので良いように思う。
構成・内容は前記「商品の説明」に詳しいのでそれに譲る。


全体的には、
中世を中心にルネッサンス期を含めた近世辺りまでの、
殆ど宗教画作品（キリスト教観念的世界の表現）であるので、
必要条件ではないがある程度キリスト教（特に「新訳聖書」）の前提知識があったほうが良いだろうと思う。
ルネッサンス期の著名な作者・作品のトピックは、
思ったほど多くはない。
トピックの１つに（「新訳聖書」の）「最後の審判」に関する作品があり、
著名な作品として「ヒ エ ロ ニ ム ス・ボ