演奏は素晴らしいもののヘンデルらしさのない曲が多い

ヘンデルのソナタはLP時代にグラーフの優れたフルート版や二台のチェロのためのソナタ等が気に入っていたので、
自然で清潔感があり格調の高い演奏をするスークとルージチコヴァーの演奏であれば素晴らしいだろうと思い購入した。
確かにニ長調ソナタは見事なものである。
これは良くできた二重奏ソナタでルージチコヴァーも主旋律を奏するし如何にもヘンデルという作風である。


いつものとおり、
解説を見ずに聴いてみたが、
ヘンデルらしくない曲が多いので解説を開いたところ6曲中の4曲がヘンデル作曲か未確認とのことだった。
ネットで調べると、
楽譜に当時の筆跡で「ヘンデル氏のものでない」と書かれているらしい。
グリュミオーも同じ選曲でCDを出している。
誰の作曲かは謎であるが、
「緩急緩急」四楽章構成の緩徐楽章がバロックとは思えないほど歌心に満ちている。
スークは節度を保って端正にヴァイオリンを歌わせている。
短い曲が多く親しみ易いし、
演奏も美しいので楽しめる盤ではあるが、
ヘンデルをたっぷり味わおうと期待して購入すると違和感を感じてしまうように思える。