非常に易しい本！　数字（数式ではない）を用いているので説得力がある。

　左開き横書きの本。
読み始めて吃驚したのは内容が非常に易しい事。
コラムに若干の数式が用いられているが本文だけ読んでも内容は十分理解できる。
中学生でも読める本。

目次は難しい言葉が並んでいるが内容は3種類の統計分布と例。
ずれた場合何らかの「異常」があるという内容。

・正規分布・・・身長（高校3年男子）　思春期以前は対数正規分布（成長期のためと思われる）
・べき乗分布・・・地震（ﾌﾟﾚｰﾄﾃｸﾄﾆｸｽ理論）本書で一番気に入った。
他の例として都市人口、
超高額所得者
・対数正規分布・・・変数変換した正規分布に過ぎないと思うが本書では別の分布としている。
例はＧＤＰ、
新生児の体重、
高齢者の介護期間（5年以上を除く）　＊体重（高校3年男子）は二重対数分布（異常）標準体重群と肥満群があるためとの説明がある。

　最後の章は「社会現象を統計的に読み解く」で米国と日本の所得格差や都道府県格差を扱っている。

日本の個人所得ランキングプロットでは年収1千万円までが対数正規分布だがそれを超えるとべき乗分布（異常）高額所得者の存在を示す。
米国の個人所得ランキングプロットでは10万ドルまでが対数正規分布だがそれを超えると不連続的にべき乗分布（ひどい異常）になる。
更に2万ドル以下で上に盛り上がる（異常）　これは貧富の格差が日本以上に激しい事を物語っている。

結論）わずか3種類の統計分布とそれからずれると何らかの「異常」があるという簡単な内容なのですぐ理解できるし一読の価値がある。

　余談だが、
成人女性の身長の平均は日本が158cmで多分正規分布。
　米国は162cmと予想外に低い。
多分正規分布にはならない。
これも「異常」だがアジア系、
南欧系、
ヒスパニックが平均を下げていると思われる。