良質なセルフカバー

タイトルから察することができる通り、
本作はかつてBUCK-TICKがしたように過去の楽曲を再録したセルフカバー・アルバムである。
MUCCはアルバムが多いので、
まんべんなくキャリアをカバーしてる選曲とは言えないが、
初期から近年までの楽曲が選ばれている。
全体的に是空〜極彩のメジャー初期の曲が多めに選曲されている。
一部の人はタイトルからBUCK-TICKのように大胆な再アレンジを期待しているかもしれないが、
本作は基本的に曲の形を大幅に変えるような事はしていない。
どちらかと言えば原曲の形を保ったまま曲のテイスト・雰囲気を変えるアレンジが多い。
『儚くとも』、
『流星』、
『モノクロの景色』、
『1979』、
『ファズ』等がいい例で、
それぞれ新たに追加されたストリングスやキーボード、
ブラス等が曲を新鮮なサウンドにしている。
激しめの曲は基本的に「今のMUCC」の技術・演奏力で表現する形となっていて、
非常に聴き応えのあるテイクが収録されている。
『茫然自失』や『蘭鋳』のライブ定番曲は近年のライブで披露されているバージョンにアップデートされていて、
逹瑯のグロウル等が原曲とは比べ物にならないくらい進化しているのが解る。
近年の楽曲である『Mr.Liar』と『MAD YACK』は基本的に原曲と変わらないアレンジになっているが、
全体的によりパワフルになっている。
また、
『Mr.Liar』の中盤には原曲にはない電子音の静かなブレイクが挿入されている。
元の音源の音質があまりよくない初期曲の『アカ』と『翼を下さい』も現在のMUCCの技術で取り直されていて、
迫力のある音になっている。

初期ムックにいつまでも幻想を抱いている元ファンには不評だと思うが、
純粋に2007年以降のMUCCが好きな人なら堂々と進めたい。


しかし、
本家であるBUCK-TICKから許可を得ているのに（IIをつけるのもBUCK-TICK側からのお願い）買ってもいないのに文句をグダグダ言う為にわざわざ低評価のレビューを書いているBUCK-TICKファンがいることには心底呆れる。
メンバーの大人の余裕を見習って欲しい。


＊追記