ウォルター・マッソーの顔芸！

『サブウェイパニック』という邦題は当時のパニック映画ブームに便乗したもので、
実はパニック映画でもなんでもない。

地下鉄ハイジャック犯と地下鉄公安局警部補との駆け引き、
緊迫感溢れるサスペンス要素、
ウィットに富んだ会話、
魅力的なキャラなど『パニック映画』とは真逆のテイストである。

ウォルター・マッソー、
ロバート・ショウ、
マーティン・バルサムなどの中年のオッサン俳優を配し女優は数えるほどしかいないのに面白いのは緻密に構成された脚本の証左。
脚本さえしっかりしていればイケメン俳優や美人女優など必要ないと４０年以上前に証明している。

『お大事に！』マッソー演じる惚けた顔のガーバー警部補が犯人グループの一人を特定するに至るシーン、
デヴィッド・シャイアのテーマ曲、
そしてあの顔芸！

ＨＤリマスター版で初のスクイーズ収録(ＤＶＤはレターボックス仕様だった)は嬉しい限りだ。

ガーバー＝富田耕生氏、
ブルー＝中村正氏のプロ対プロのやり取りは勿論、
粗暴かつ短慮なグレイをまだ｢ぶるぁぁぁっ！｣する前の若本規夫氏が、
支持率を気にする無能な市長を阪脩氏、
市長にハッパをかける助役を故小川真司氏が存在感たっぷりに演じている。

現在だと放送コードに引っ掛かる台詞が頻繁に使われ、
特定の団体からの圧力で地上波放送はまずされないため買って損はない。