至高の作品集

”一点の卑俗なところもなく、
清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。
”

表紙をめくってすぐに書かれた松園のこの言葉に、
まず目が奪われます。

そして、
ページをめくっていくと、
その言葉に違わない珠玉の作品群に心を奪われます。

作品のひとつひとつに丁寧な解説が付されており、
当時の松園の心境・環境に思いを馳せながら、

作品を楽しむことができるだけでなく、
彼女が活躍した明治時代の、
女性の立場も各種のエピソードを交えて知ることができます。

その時代に生きた、
松園にしか昇華しえない誇り高き女性の姿がそこにあります。

心なしか、
歳を経るごとに彼女らの表情が柔和に変化している気がするのが実に興味深いです。


中学の頃に見た国語便覧で彼女の作品に一目ぼれし、
「こんな女性になりたい」と憧れた私の目に狂いはなかったと、
思いがけず自信を得させてもらえた一冊でした。