私の父は、プラチナみたいな人でした。

その昔、
父から「御木本の真珠は高価だけれど、
養殖の技術を考えたら適正な価格」だと聞いたことがあります。
(養殖の技術に対して、
対価を払っているのだとか何とか言っていました)
その父から、
真珠のネックレスを手に入れるため、
持ってたビルと交換した大金持ちがいるんだよ、
と聞いたことがあるのですが、
確かにそういう話があったはずなのに、
もう一度聞きたいと思っても誰も知らないし、
終いには「夢でも見たんじゃないの？」と笑われる始末でした。

でもその話がこちらの本に書かれているのを見つけ、
本当に嬉しかったです。

そうかカルティエだったのね。
カルティエのニューヨーク支店になってるんだ、
そのビルは…。
ティファニーだと思ってた…
こういう面白い話が、
私より少し上の世代で止まってしまって、
そこから下の世代には伝わっていないので、
勿体ないなぁと思っていたのですが、
書き残して下さって良かったです。

それから巻末の『正しい宝石の買い方、
教えます』も実践可能な指南書で、
フライドポテトを食べながら、
気軽な気持ちでここから読み始めたのですが、
あまりの面白さに声を上げて笑ってしまいました。

これから宝石を買う時には、
触りまくって、
思い切り値切って、
必ず１人で買いに行くことにします。
甘言に惑わされないようにもします。

今まで身に着ける宝石以外興味が無かったのですが、
ファベルジェの作品はぜひ見てみたいと思います。
そして父がデビアスを嫌って、
更にはプラチナばっかりくれた事、
何となくわかったような気がします。
(何でダイヤが付いてないの！と思ってた)
文章というか書き方が面白くて、
一気に読んでしまいました。
背景がわかると、
見方も変わりますね。

そして願わくば著者には、
国内の、
この業界で働く人たちの、
人材育成をして頂きたいです。
(「もっと勉強しろ。
」と言って下さい)
でないと、
楽しくないです。