最後かも知れない新時代劇の傑作

深作欣二監督、
製作東映の本作ですが、
まず特筆すべきはキャストがあり得ないぐらいに豪華です。

萬屋錦之介、
千葉真一 、
松方弘樹、
成田三樹夫、
志穂美悦子、
丹波哲郎、
夏木勲、
大原麗子、
真田広之、
更に三船敏郎まで、
まだまだ他にも豪華な出演陣が勢ぞろいの、
新旧オールスターが総出演していると言っても過言ではないぐらいの大作時代劇になっています。


開始早々に数分間のナレーションと映像が入り、
背景説明が流れます。
そのままもう5分10分後には本編に引き込まれています。

以後も随所にナレーションが入る場面があり、
これらのテンポが非常に良く劇中から現実に引き戻される事がほとんどないです。

展開のスピーディさに加えて、
ブツ切りにならないような場面転換にも成功しており、
その上で役者さんの演技がどなたも素晴らしい水準ですから引き込まれないはずがないという。


萬屋錦之介さんの歌舞伎のような非常に濃い演技と、
朝廷側の成田三樹夫さんの青瓢箪かつ剣豪という一見相反する設定のキャラクター性とその演技、
また松方弘樹さんもキャラクターが立っていて上手い。

深作監督は現代風時代劇を撮りたかったそうで、
萬屋錦之介さんと演技において度々対立されたそうですが、
結果的にこれは大成功ではないでしょうか。

各々の役柄、
演技が反作用的に際立っている点がこの作品が纏まる上で欠かせないスパイスになっていると思います。

サニー千葉、
志穂美悦子、
真田広之は演技の他に安定のアクションや殺陣もあり、
本作も柳生十兵衛と言えばサニー千葉、
みたいになった作品のひとつです。

大原麗子さんの舞踊が上手かったり、
後半大原さんが三船さんのところに嘆願に行く場面も良いですね。

見どころ満載で全く無駄のない作品構成です。


ストーリーは政治劇ですが話もよく出来ておりますから、
食わず嫌いせずに是非見て頂きたいです。

ラストまで一気に駆け抜けられます。