怒りの生成過程

「信じる」をひとつのキーワードに、

物語が展開しているように感じました。


信じきれなくて、
あきらめていたり、

ある疑念から、
信じられなくなったり、

信じていたのに、
裏切られたり…

人は「信じる」ことが、
困難な時、

絶望的な気持ちに支配される。

そしてそれは、
やがて「怒り」へと変貌する。


しかし、
「怒り」を生み出す原因とも言える「信じる」行為は、
裏返せば「希望」でもある。

「信じる」ことは、
常に危うさを秘め、
揺らいでいる。


互いに信じ、
他者を受け入れることができた時、
その紐帯は、
「怒り」の破壊力を凌駕する。


本作は、
「怒り」の生成過程という「影」を細密に描写することで、
「信じる」ことが生みだす「希望(光)」を浮き彫りにしているように感じました。


人であるかぎり、
切り離すことのできない感情、
「怒り」。
そして、
その背後に潜む「絶望感」。

観賞後は、
深く考え込んでしまうような映画でした。