時を越えたメッセージ

私がこの作品と出会ったのは、
30年以上も前、
小学生のころで、
中学受験の国語の演習問題でよく出てきました。
子どもの受験勉強を見ていて思い出し、
中年になった今も「どう生きるか」に悩んでいることもあり、
先日購入して読むことにしました。
国語が苦手な上、
まだまだ幼かった小学生の私では理解できない内容だなぁと思いますが、
今読むと、
平易な文章(すばらしい表現力ですが)で、
わかりやすい内容であるにもかかわらず、
今の時代にも通用する、
いくつもの優れた見識が示されています。

「雪の日の出来事」は学校が舞台ですが、
現代の会社の職場でもおきうるような出来事だと思います。
そのような場面に自分がおかれたときに「どう行動するか」(どう生きるか)筆者のひとつの答えが提示されています。
そのほか、
ナポレオンを題材に、
歴史上の偉大な人物の偉業のうち、
本当に値打ちのある事業は何なのか等が記されています。
昭和初期の市民の生活、
当時の階級の違いといった当時の様子もが伺い知ることができ、
丸山真男氏が指摘しているとおり、
時代を語りながら、
時代を超えたテーマを提起していると思います。
同氏の書評も興味深く、
改めて該当箇所を読み直して理解を深めることができました。

「君たちはどう生きるか」がタイトルですが、
主題のみならず、
筆者の優れた見識に触れることができます。
時代や世代を問わず、
読む価値がある本だと思います。
本のお金と読む時間をはるかに超えるものが得られることでしょう。