少年誌なのにステインが深いし共感してしまう

　アニメから入り、
爆豪くんが出るたびにその見事なまでの性格悪いライバルぶりに釣り込まれ「爆豪、
爆発しろ！」と本気で唱えてしまう、
いい年して弱い者いじめ大嫌い・ヒーロー大好き人間です。
爆豪役の声優さんの演技が上手なので、
余計に怒りを誘発させられるんですよね。
自分も爆豪みたいな俺様いじめっ子タイプに「頭の悪い奴がいつまでも読書してあがいてるのとか、
みっともなくて見ていてイラつく」とか言われたことがあるので、
そういうやつらと重なり腹が立って仕方がなく、
もう大人げないというか申し訳ない位ですが、
わたしもデクのように爆豪一族をぎゃふんと言わせたい。

　さて今巻は、
デクが職場体験に行くお話です。
デクはオールマイトの恩師・グラントリノというロートルヒーローのもとで修行することになるのですが、
このグラントリノがカッコ可愛いおじいちゃんでユーモラスです。
ついでにオールマイトの本名が和名そして普通！で面白かった・・。
いつものアメリカンスタイルは正体を隠すためのキャラ作りというかカムフラージュなのだろうか？
　そして何と言っても＜ヒーロー殺し＞ステインのキャラクター造形が深い。
「俺を殺していいのはオールマイトだけだ」というほどに無私無欲のヒーロー・オールマイトを認めている彼はオールマイトの影というか、
ある意味合わせ鏡のようなキャラクターといっても良いのではないかと思います。
殺人を犯すまでに行き過ぎ道を踏み外してはいても彼の＜正義への情熱＞はそんじょそこらのヒーローよりも純粋で激しいのです。
彼は狂気じみたレベルで正義とそれを体現する真のヒーローと、
正しい社会を愛しているのでしょう。
そしてそのためには我が身を犠牲にして省みないのです。
勿論飯田くんの人間的な行動は自然なものであり、
家族を殺された彼は可哀想なのですけれども・・・。

　今時少年誌で、
こんな白黒つけにくい社会派で真面目なダークヒーローをあえて出して来るなんて、
堀越先生は根が真面目で優しい人なんだろうなと思います（無論峰田な部分もおありなんでしょうけどもね）。