晋作は大変な「読書家」だった

　氏の本はこれまで何冊か読んできたが、
やはり文章が読みやすい。
特に
ありがたいのが、
一次資料（？）を素人にもわかるように書き換えてくれるこ
とだ。
そのおかげで、
ふつうなら読む気にならないものも気楽に読める。

　本書は高杉晋作が生涯に書いた「日記」を年代順に並べているが、
意外
だったのが彼が大変な読書家だったことだ。
暇さえあれば読んでいる。
これ
まで「行動家」としてのイメージしかなかったので、
興味深い発見だった。

　また、
読みながら同時に思ったのが、
現代青年との比較である。
幕末の晋
作は頻繁に人と会い、
剣の修行をし、
残りの時間を読書に当てていた。
しか
し、
二十一世紀の今日、
そのほとんどがスマホやゲームの時間に取られてし
まっているのではないか？　つまり、
自分を成長させる機会をいたずらに奪わ
れたまま、
年だけを重ねるのである。
そして、
両者の違いが「顔」に現れる。

　それと、
この本で改めて確かめられたのは、
晋作が松陰の影響を強く受け
ていたことだ。
何より、
晋作自身の言葉で日記に書かれているのだから間違
いない。

　まさに彼の人生とは、
吉田松陰のそれの延長線上にあったのだろう。