純粋に九校戦の競技だけ見せてくれれば……
前巻の後半から始まった九校戦ですが、
競技自体の面白さというのはあまりありません。
競技における描写は魔法発動理論の説明と登場人物紹介が主となっています。
それでも幹比古、
雫、
一条といったキャラには好感が持てたのでこの点は評価します。
例外的にモノリスコードという競技だけは、
試合経過も細かく描写されており面白かったです。
4巻のみどころです。
ただ、
達也がエンジニアとして参加したことによってメンテを受けた選手が好成績を上げたのはよいとして、
達也を拒んだ選手たちが軒並み不調で一高の成績の足を引っ張る役目になったのには「作者による差別待遇」を感じて嫌でしたね。
魔法の理論はコンピュータのプログラムの実行の原理を元に構築されているのですが、
細かく書いているようで実は結構説明不足です。
コンピュータプログラムの専門用語を魔法理論用にコンバートせずそのまま使用しているところがある為、
プログラムの知識がある人には元ネタから推測して説明不足を補完することも可能ですが、
そうでない人には不親切です。
また、
魔法の原理の部分では多くの言葉を割いているのに比べ、
実際に魔法が発動したときに「何が起こっているのか」の描写が少ないところも難点です。
九校戦の合間に、
達也が競技を妨害する行為を行った組織を潰すのですが、
例によってアホすぎる組織なので何も面白くありません。
それにしても3巻のレビューでも触れましたが、
作者は達也の感情についての設定をうまく扱えていないんじゃないでしょうか。
この巻において「残された感情の範囲内で、
最大限の嫌悪を覚えた」などと、
かなり苦しい表現になっているところを見るとそう思います。
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