音楽表記に依る時代証言

第１楽章の冒頭を聴き、
すぐに購入の手配を決めた作品。

ショスタコーヴィチの交響曲は今まで関心が向きませんでしたが、

この作品を聴いてから、
一つ一つの作品が耳に語りかけてくるようになりました。

常に第１楽章から第４楽章まで通して聴く、
私にとりましては稀有な作品と演奏です。

非常に完成度が高く、
緻密な文章のような、
緻密な旋律と構成の作曲です。


そして聴く度に、
社会主義とスターリンにより、

ショスタコーヴィチが、
自身に迫る危機的状況の緊張感を持って、

暮らしていたことが浮かび上がって来ます。

時代的に、
スターリンらが、
常に念頭から離れず、
どんな人物か何をする最高指導者か
常に冷静に分析していたことが伺えます。


第１楽章は、
ロシアの国土を蹂躙して行った悲劇と惨劇の悲痛な状況を感じます。

第２楽章、
当時のソ連体制の致命的な矛盾を表現しているように聴こえます。

第３学章は、
緩徐楽章でも悽愴。

第４楽章のフィナーレの荘厳で勇壮そして典雅な演奏が、

1937年11月21日ソビエト革命20周年の記念日に相応しく、

初演の成功を決定づけたと、
今聴いても感じとれます。


ムラヴィンスキーは、
作曲者と共に同時代を生きた、
初演に携わった指揮者として、

ショスタコーヴィチの楽譜における音楽表現を顕現することに、

細部まで克明に精確に描写することに、
成功しています。

ムラヴィンスキーは、
審美の確かな耳を持つ指揮者。

今まで聴いてきた中で、
最高の演奏の一つです。


「Mravinsky believed that music can say more than any words
because music　works on the emotions.
Speech can be very long-winded.
Mravinsky really understood Russia’s catastrophe.
He could express it in music.
He felt the