真理を追求するためのアヒンサーの実践

はじめに、
「神」と「真理」の考え方についてガンディーは説明する。


「『神は真理なり』と言うよりも、
『真理は神なり』と言ったほうが、
より的確です」（11頁）

これは「神」という概念が理解できない人間にとってもわかりやすい。


さて、
肝心の「真理」とは。

辞書で引けば非常に漠然とした説明が出てくる。
「本当のこと」、
「正しい物事の筋道」等々。
そう考えると人の数ほど真理があるような気がしてくるではないか。
その点について、
ガンディーはこう述べる。


「一見異なる真実に見えるものが、
結局は、
同じ樹に繁茂する見かけの違った無数の木の葉のようなものであることがわかるでしょう」（14頁）

そう。
あくまでも「真理はひとつ」であるのだ。


では、
この真理を獲得するためにはどうすればいいのか？

まずは「アヒンサー」の実践が不可欠である。

アヒンサーとは、
「不殺生」と訳されることが多いが、
ガンディーはより積極的な解釈をしており、
「生きとし生けるものすべてのものを愛する」ことだという。
すべての物を愛するからこそ、
「不殺生」「不傷害」が実践されるのだ。


また「盗みをしない」ということも重要だ。
人の物を盗まない、
ということは言わずもがな。

「必要としないものを所有すること」も、
ガンディーに言わせれば盗みだというのだ。
厳しい。

欲しいと思う気持ちを起こすのも盗みにほかならないという。
さらに厳しい。


「心ひそかに、
他人の持ち物を手に入れたいと願ったり、
貪欲な目を向けたりするのも、
また盗みです」（41頁）

そして、
これは物理的なもの以外にも、
「思想」においても同じことが言えるという。

必要ではない思想、
考え方、
情報をむやみに頭の中にいれていないか？これは情報の氾濫する現代を生きる我々にとっては耳の痛い話だ。


総じて、
本当の意味における文明とは、
「欲望を削減する」ということなのだという。