既成の価値観が崩れいく60年代社会から遅れ、保守化の80年代へとつながる70年代アメリカ映画史が見える

　『ゼロ年代アメリカ映画100』、
『80年代アメリカ映画100』、
『90年代アメリカ映画100』と書き継がれてきた、
「フィルムを通して時代を見る」このシリーズが、
おそらく満を持して贈る『70年代アメリカ映画100』です。

　シリーズ中、
『70年代』が最後になったのは、
主編集者・渡辺幻の巻末の言葉から推測するに、
1980年に出版された『70年代アメリカン・シネマ103―もっともエキサイティングだった13年 (ブック・シネマテーク 1)』に対する敬意を表してということでしょう。


　100本の個々の映画に関する解説を読む前に、
なんといっても、
そしてまたしても、
映画評論家・町山智浩の解説コラム「70年代アメリカ映画界の様相」（193〜210頁）から読み始めることを強く推奨します。
70年代に映画がアメリカ社会とどう切り結んで行ったかを簡にして要を得た文章で綴ってみせます。