日常の空気感の中へさりげなく音楽を添える、作風。

我々リスナーにとって、
メディアから音楽を耳にする時は、
シングルイシューばかりを提供される。
だが我々はアルバム曲にこそ、
日の目をみてもらいたいと思ってきたし、
そこに触れるには個別のアルバムをみてゆかないといけない、
大変さもあった。
特にCAのような26年選手（この当時は15周年）は、
作品も膨大だ。

そこに今作は登場した。
昨今ベスト盤が乱発されているが、
こうしたシングル以外の曲をまとめた作品は、
案外少ない。
素直にCAの曲が優れているということと、
長い年月走り続けている証であるといいたい。

「PRIDE」「BIGTREE」「REDHILL」「Mr.ASIA」「TURNINGPOINT」「GUYS」「Energy」らアルバムタイトル楽曲のキャッチーで骨太な構造の曲が注目どころ。
そして「天気予報の恋人」のような有名曲収録も嬉しい。
他に「Reason」「水の部屋」等さりげない名曲はこの作品の趣旨といえる。
個人的には「WHY」という最も大人向けで、
そう簡単には良さはわからないだろうと思えるJAZZYなナンバーがオススメ。
但し「TAO」等ファンでも難解な曲もあり、
それも含めてCAなのだと感じてほしい。
そしてCA楽曲中、
シングルB面に1度きり収録された隠れた名曲「Knock」のユニゾン部の分厚さ、
かっこよさを体感できるのが今作の最たる隠し味だ。

他方、
曲間のDJはなかなか気持ちよく、
特に“Yin”DISCのCARA JONESに癒される。
ＤＪは曲の雰囲気に付加価値をつけ、
作品を一連の流れで聞かせる。
即ち音楽を特別なものにするよりは、
ＦＭのようにリスナーの日常と同じリズムで空気感を演出し、
音楽にさりげなさを持たせ、
しかし流す曲は優れたものにすることで、
空間作りの奥深さを醸し出している。
また英語のDJという点には、
MTV出演やモナコ音楽祭、
アジアツアーなど海外で有名になった時代性を少し感じる。