小川榮太郎は御用文士などでは決してない

第二次安倍政権が誕生するに至った経緯と、
その後の政権運営が清廉な筆で書かれている。


時系列に沿って書かれたそれは、
三年にわたった民主党政権に、
うんざりをとおり越して危機感すらいだき、
日々ニュースを追っていた当時の己が、
何を思い・何を渇望していたかを、
正確に思い起こさせる。


丹念なメディア情報の記録と、
作者個人の取材力に裏打ちされた本書は、
ドキュメントとして一級だ。


遠い未来、
日本国民が、
いかに大東亜戦争敗戦によるナショナルアイデンティティーの喪失から立ち直ったか、
その史実を学ぶ一端を形成する書物として、
広く引用されるのではないかと思わせるほど、
その記述は正確で堅牢だ。


あとがきに当たる謝辞で、
『前著に続く「安倍礼礼讃本」を出したことで、
私は、
特定の政治家を持ち上げる御用文士という世評が定着することになるのだろうか。
それも面白かろう。
』と記している。


しかし、
戦後我々が失ったものが何で、
何を取り戻さねばならないかを知る者なれば、
自らが欲するものを体現する政治家が安倍晋三であることは、
すぐ察することだろう。


その意味で小川榮太郎は御用文士などでは決してない。
共に祖国を憂い、
古から面々と続く大和民族の魂を、
再び取り戻したい故の、
共闘すべき相手としての安倍晋三を彼は見つけ出したのだ。