沖縄戦の悲惨さと、そこで戦った軍人の孤軍奮闘ぶりが一目でわかる

ミリタリー好きの友人に薦められて鑑賞しました。

沖縄戦についてはこの映画を見る前も牛島中将や八原参謀の本を読んである程度知っていたのですが、
やはり映像としてそれを見せられるととにかく圧巻の一言につき、
お涙頂戴すれば良いと思っている戦争映画が多い昨今、
ここまでただ戦争を、
それも敗けてしまった側の立場から、
しかしそこで戦った人にきちんと寄り添って描こうとしている映画があったのか、
と大変感動しました。

墓場の前で踊り狂うおばあさんの姿や、
死体の転がる浜辺を歩く少年の姿、
ふるさとを歌って爆死するひめゆり学徒生の姿には映画的演出が過ぎるような気もしましたが、
いずれにせよ戦争が終わってずっと後に生まれた人間にその是非を問う資格などなく、
ただ最後に画面いっぱいに表示される戦死者数の数字に、
ただただ愕然としました。

俳優の演技も大変素晴らしく、
牛島中将を演じる小林桂樹もさることながら、
仲代達矢、
丹波哲郎の演技も光ります。
戦争は負ければ全て犬死ですが、
それでも戦争で戦うということ、
その瞬間の人々の決意の悲壮感には敬意を払わざるを得ません。
またそんな戦争の犠牲になり、
死ななくてもいい命を散らせていった多くの沖縄の人々の描写も強烈です。
すぎてしまったことは仕方ないことですが、
そこで起こったことの結果としての今というものを、
忘れずに生きていければいいなと思います。