西森博之最後の作画

西森さんはこのマンガを最後に、
創作活動は小説と原作になり、
漫画の作画はやめたようだ。

確かに上手いとは言いがたい絵だったけど、
それなりに味のある絵だったのだが、
もしかしたら自分の絵にコンプレックスがあったのかもしれない。

この漫画もバトルを中心とした作品だが、
これは今までの作品とひと味違うタイプ。

策略家タイプの主人公というのは道士郎の健助もだが、
この主人公御前崎真道はそれをさらに完成形にしたようなフィクサータイプで、
顔・技、
頭脳、
度胸、
品位、
話術と、
どれをとっても一級品。

ちょうど、
普通のバトル漫画で敵の黒幕によく居るようなタイプ。

この設定が意外に面白く、
結構主人公が好きになった。

問題はストーリーの方で、
最初は大金持ちから一転して一文無しになった真道が、
自らの才覚で成り上がっていく物語だと思っていた。

確かに途中までは、
倒した敵を取り込みながら大きくなっていくという感じだったのだが、
蘭子が出てきてからはストレス展開をへてカタルシスエンドという、
西森さん従来のバトル漫画になり、
そのまま終わってしまった。

これは打ちきりなのか？
それとも作者がやる気を失ったのか？
とにかく、
伏線とか重要そうなキャラとか恋愛に関してとか、
いろんなものをほったらかしたりス飛ばしたりして、
無理矢理イイ感じに終わらせている。

その点は大いにマイナス点であるが、
それでも物語の流れは面白く、
コメディーセンスやバトル展開といった所はさすがに上手い。

だから、
不満点は残っても、
面白くないとは言えない。