大東亜戦争詩文集 (近代浪漫派文庫) の方をお勧めします。

本書で取り上げられている遺詠は、
どれも真に心を打つものです。


これら遺詠に対し、
編者の北影氏は終始「勇気ある行動、
日本男児はかくあるべきである」といった論調で評しています。

しかし、
詠者が実際にどのような心情であったかは死を受け入れた当人にしか解り得ないことではないでしょうか？

もしかしたら詩の背後に深い迷いや悲しみ、
後悔といった感情があった方もおられたかもしれません。

（実際に坂井三郎氏や岩本徹三氏も特攻によって部隊の士気が下がった旨著書で述べておられます）

もちろんこれをもって彼らの勇気を否定するものでも、
彼らに対する敬意の念を減ずるものでもありません。

ただ、
後世の我々が為すべきは遺詠からその心情を静かに「察する」ことであって、
自己の思想信条で「断ずる」ことではないと考えるのです。


先人たちの遺詠に対して（左右を問わず）バイアスの掛った論評をすることは、
それ自体が不遜なものであると考えるが故、
本書について低評価をつけました。


重ねて書きますが、
本書で取り上げられている遺詠はどれも真に心を打つものです。


上記理由により私は「大東亜戦争詩文集 (近代浪漫派文庫) 」の方をお勧めします。