全年齢対象、素直に泣ける映画

私は病気もの映画って嫌いなんで、
妻がこれを見たがった時には激しく抵抗したものですが、
これは素直に本当に見て良かったです。
まぁある程度年齢を重ねてくると、
たくさんの人間がいろんな理由でお別れしていってしまうという状況に直面しますので、
自分が若かった頃と違ってこういうテーマの映画もすんなり受け入れてしまうということもありますが、
この映画は人の不幸でアザとく泣かせてやろうというところが全くないので、
恐らくこの映画の対象にしているであろう観客のティーンにも爽やかな感動を与えてくれるのではないでしょうか。

大人から見ると青臭いところは鼻につきます。
“人の命を奪えるものをあえてくわえておく”という煙草のくだりなんかや、
“よほどの偉人でもない限り誰も死んだ後に誰も覚えてくれはしない”なんて台詞はガキんちょだなとは思いますが、
そこの一生懸命さがまた初々しかったり。
また変な湿っぽさがないのがまた良くて、
この映画で大笑いさせてくれるナイスなキャラクターが、
主人公の友人でまた不幸な病気なのですが、
一番の苦しみは失恋であるというそこがまたほのぼのします。

この映画で描かれているのは、
限られた時間の中での人の生きかたであり、
足りない時間の中で人を愛するという気持ちであり、
友達から急ぐように恋人になっていく姿は本当に切ないですが、
そこには残されるであろう家族の生き方も愛もあり泣かせます。

若者向きではありながら、
趣味のいい爽やかな楽曲がさらりとバックに流れているといったところも、
おしつけがましさがなくて良かった。

ドキドキハラハラもあります。
病気を押して、
もしかして最後の望みかも知れないアムステルダムへの旅行に行けるのかというスリリングさ。
私なんかだとやっと取れた海外でのアーティストのライブのチケットを握りしめ、
周りのインフルエンザが染りませんようにと不安な日々を送ることがある位なので、
気持ちが分かるなんて言うと怒られますけど、
でもやっぱりわかるあの気持ち。
見ているこちらも泣いたり笑ったりです。