法主絶対主義を主張する日蓮正宗の「神話」を解体する驚きの書。

「唯授一人血脈相承」。
日蓮正宗の柱ともいえるこの思想の解明を試みた大著です。

個人的には以前から疑問に思っていた「血脈相承」ですが、
やはりどこか無理がある思想だと感じていたのは間違いではなかったのだろう、
と納得のいく論文でした。


唯受一人血脈相をはじめ、
三大秘法、
貫主を「法主」と呼ぶこと、
更には御本尊書写が法主の専権事項であることさえもが、
室町時代中期に日蓮正宗にやってきた左京日教によって持ち込まれたことが、
説得力をもって本書に明かされています。


現在の日蓮正宗教学の根幹をなすこれらの法門が、
少なくとも9世・日有上人の頃までは存在しなかったという事実に驚きましたが、
これらの事実のうちの多くが、
既に堀日亨上人によっても解明されていたことも驚きでした。


現在の日蓮正宗教学には、
日蓮の御書に登場しない法門がいくつもあることが、
以前から気になっていたのですが、
日有上人の頃までは、
日蓮の御書に沿ったシンプルな教義であったことも確認できて納得がいきました。


御本尊書写は、
法主にのみ許された専権だと私は思っていましたが、

実は平僧が書写・模写・模刻した御本尊が全国にいくつも残っていたり、
棟札本尊や御守本尊は平僧が普通に書いていたりしていた事実は、
本書ではじめて知りました。

というよりも、
創価学会が全国的に折伏をするようになって、
はじめて法主のみが御本尊書写ができるように統一されたようです。


創価学会草創期に、
日蓮正宗から授与されていた日寛上人筆の御形木御本尊は、
常在寺所有の御本尊をもとに「授与書き」が消されて印刷された可能性が高いこともわかりました。

日蓮正宗は「現在の創価学会授与の日寛筆御本尊は『授与書き』を消しているから謗法。
ニセ本尊」と難くせつけていますが、
どうやら自分たちも同じことをやってきたようです。


創価学会常住の板御本尊も、
日蓮正宗は「模刻したから謗法」と難くせつけていますが、
全国至るところに勝手に模刻した御本尊が存在していることもわかりました。

日蓮正宗の中身は、
昔から相当な謗法の巣窟だったようです。