イスラム・テロ・三島由紀夫をめぐるホットな話

著者は自分のランボー体験から始めて、
それがいかにイスラム体験と結びついたかを語る。
そしてウエルベックの『プラットフォーム』に、
著者のイスラム体験を真っ向から否定するイスラム罵倒の言説と出会う。
そこから、
イスラム的なるもの、
砂漠の宗教、
その一神教について語り及び、
今日のイスラム過激派のテロへと論点を拡げていく。
それが三島由紀夫とどう関係づけられるのか、
そこが本書の成否を分けるポイントだと思ったが、
著者はウエルベックの『プラットフォーム』の舞台となるバンコクと三島の『暁の寺』の舞台となるバンコクを照らし合わせ、
ランボーの砂漠とイスラムの砂漠、
三島の「荒野より」など、
たくみにアレンジして説得力のある論を展開する。
村上春樹、
村上龍、
辻仁成、
阿部和重、
上田岳弘等々、
テロ文学史の主要なメンバーも、
三島由紀夫と結んで語られ、
ランボーのエピソードも交えられて、
全体がテロという今日的でホットなテーマに絞られていくのが圧巻だった。