過去の株価データを使った数字遊び…？

儲けるために必要な財務指標や株式指標の具体的数値がこれでもかと記載されており、
かつこれを元に抽出した企業リストや実際の株価チャートが散りばめられているため、
一見すると非常に有効な実践的指南書という印象を受ける。
しかし、
よくよく読み込んでいくと書いていること全てが眉唾で、
これから先儲かるためのルールは書かれていない気がする。
書かれているのは「過去のデータを整理してみたら」こんな基準で買ってホールドし、
こういう基準で売っていればぼちぼち儲かっていたはず、
という分析結果とでも表現できるだろうか。
なにしろPERやPBR、
EPSといった数値基準がいちいち細かく「この条件ではこっちの説明が出来ない」「この条件ではあっちが外れる」と、
筆者が過去の株価データベースを元にExcelをちまちまいじりながら、
ちょうど良いところを模索して整理した結果としか思えないのだ。
「保有期間は最長でも200日」という根拠のないとってつけたような条件なんかもあり、
信憑性に欠ける。
投資法では少数派と思われるナンピンの推奨も、
決算発表直後に下落した銘柄をなんとか救える（ように見せる）手口としか思えない。
またPERやPBR程度であればスクリーニングにかければ済むので良いが、
売りの基準に至っては値動きの鈍い東証一部上場銘柄の株価を毎日毎日チェックし場合によっては逆指値を日々指し替える必要があり、
兼業投資家には負担が重い。
筆者は儲けるためには努力を惜しんではならないと言うが、
努力をしても2013年のシミュレーションでは日経平均をアンダーパフォームしているのはいかがなものか…。

数字をこねくり回して理論のほつれを最小限に抑え出版にこぎつけた努力は見事だが、
今後（未来永劫とは言わず、
2016年の相場ですら）役に立つ本だとは思えない。