もはや政治の世界ではないのかも

「歴史の流れ」なんて言葉は使いたくありませんが、
徳川はすべての布石を着々と打ち続けています。
その中で豊臣方のできることなんてたかが知れています。
ここにきて本作品の中心に出てきた加藤清正も、
damage minimisationの手をつくし、
ある程度それには成功しますが、
病気（毒殺？）により舞台から退場することになり、
もはや有力な大名で豊臣方に着く者はいないという状況になります。

このような状況の中で、
老いた草の者たちの間でも、
存在意義を巡って内紛が起きるような次第です。
主人がいなくなり、
目的もはっきりしない中で、
組織維持は至難の技です。
真田本家にはもはやまともな政治目的が存在しないのです。

しかしながら時代はまだくすぶり続けます。
明治の後の西南戦争のように、
何らかの形での、
明確な旧体制との線引きがないと時代は変わらないのかもしれません。
そういう意味では、
家康による謀略と無理なこじつけによる「大阪冬の陣」への進展は、
政治的にも必要不可欠だった段階だったのかもしれません。
これにより、
幸村ともはや前時代の遺物と化した草の者たちにも納得のいくであろう退場劇が用意されるのですから。
これ以上の年月の経過は、
必然的に彼らの物理的な退場につながったでしょうから。
幸村が述べる「大御所の首取り」ももはや政治よりも美学の世界の出来事なのです。