どこまでも群淘汰にこだわるD. S. Wilsonの宗教の進化的意義と社会科学へのアプローチ論.遺伝子の群淘汰というより文化進化を扱った書物となっている.適応的分析を強調するところ,そしてそれを具体例で論じる部分は圧巻で,カルビン派の成功,初期キリスト教の成功と当時のユダヤ上流層との敵対意識の部分は読ませる.ただし進化の仕組みの部分は(著者にすれば他の論文で論じ尽くしたということなのだろうが)あまり触れられていないので少し知的には不満.
とても楽しく読みました。いつもながら巧みな文章ですね。惜しい方を亡くしたと思います。