陳腐なプロジェクトＸ

「証拠改竄事件」は、
検察の組織的犯行ではなく、
一検事の犯行に過ぎないから、

これを掘り下げるには、
検事に対する上からの圧力や犯行後の組織的防衛に的を絞らざるを得ないため、

ドキュメントとしては、
時を置いて書くしかない素材だと思う。


そこでこの本では、
取材記者をプロジェクトＸ的に書くことで紙数を稼いでいるが、
これは全くどうでもいい話で、
つまりは内容的に薄いと言わざるを得ないものになってしまっている。


ところが、
検察と記者クラブは、
「批判するのも（仲良くするのも）是々非々」という記述があり、

これはまさに昨今の記者クラブ批判が、
当の記者クラブに届いていないことを図らずも表していて、
つまりは、
検察にしろ記者クラブにしろ、
不正を防ぐシステムを構築する気が無い、
というよりもその必要に気が付いていない硬直した組織なのだと改めて気づかせていただきました。


付け加えると、
「証拠改竄事件」とは区別すべき「郵便不正事件」における『冤罪のヒロイン』は、
『部下の犯罪に気づかなかったマヌケな上司』であり、
この不正発行が係長の単独犯行であるならば、
そうさせた構造的な問題が厚労省にもあるはずで、
そこを書かないのは片手落ちというものだろう。