書き手の主観が多い（反対・推進両方）

事故調の報告書なるものを読んだことがなく、
そもそも事故調が４つあったことも把握していなかった私ですので、
入門編に良いかと思い購入。
各報告書の傾向程度はわかり、
最低限の目的自体は及第といえば及第でした。

ただ各報告書からの引用部分がかなり少なく、
内容を詳しく知るためには結局それぞれの報告書を入手して読むしかありません。

部分的に

　　●テレビ会議の映像になぜ音声がないのか
　　[民間]………………　　[東電]………………　　[国会]………………　　[政府]………………

のような比較表はときどきあるのですが、
つまみ食い的で、
もっと全体通してこのスタイルでも良かったのではないかと思います。


客観的に淡々と、
時系列で一連の出来事を網羅し、
たとえば

　　●電源喪失（○日○時○分）　　[民間]………………　　[東電]………………　　[国会]………………　　[政府]………………
　　　　　↓
　　●海水注入（○日○時○分）　　[民間]………………　　[東電]………………　　[国会]………………　　[政府]………………
　　　　　↓
　　●　………

のような形で、
各報告書がそれぞれの事象をどう解釈・報告しているかを比較できる内容を期待していたのですが、
そういうものではありませんでした。


各章の執筆者の方の主観による記述が多く、
「事故調の比較・検証」というタイトルには必ずしも忠実でないです。

そもそも本書は別に結論を出さなくても、
ただ４報告書を比較することに徹し、
報告書以外にも関係者証言などから補足・反論する点があればして頂けば十分と思うのですが、
そうなっておらず、
主客が逆転しております。