「電気のあり方」を考える上での基礎知識

スマートグリッドという言葉がバズワードになっていた時期はとっくに過ぎたけれど、
それからどう進展しているのかというとよくわからない。
そのモヤモヤした状態を解決してくれる本。
前著を読んでいたのだが、
後継となるこの本では技術開発の進展だけでなく、
電力システム改革、
FITなどについても書かれており、
状況変化に合わせて内容がアップデートされている。


東日本大震災後の電力不足でスマートグリッドに期待が集まり、
その後、
スマートメーターが設置され始めた。
だからスマートメーターとHEMSが連動し、
家電を自動制御して消費電力をコントロールして、
電気代も安くなり、
電力供給の助けにもなるような、
デマンドレスポンスの実現ももうすぐなのか？と思うけれど、
そこまで簡単ではないようだ。


電気は需要と供給のバランスを取らなければ、
停電になってしまうこともある――という電気の基本は、
正直なところ文系にはイメージしづらいが、
この本では、
繰り返しその原理を説明するだけでなく、
実際に欧米で停電した事例も紹介されていて、
実際に起きうる話であることが理解できる。


太陽光発電が普及して電力需給に不安定要素が増える中で、
電力システム改革が行われることになっているが、
電力供給の安定性を維持していくには、
細かい技術や制度設計も含めて、
いろいろ苦労がありそうだ。


2016年から家庭の電気も自由化されるので電気への関心も高まるだろうし、
実際にスマートメーターに変わったり、
HEMSを導入したりする人もいるだろうけれど、
実際にどんなことができるのか、
今後はどんなことが起きるのかを、
真剣に考えたい人にはオススメ。