属性の低い人には参考になる部分もあるかも？

　著者の低属性から這い上がって来たハングリー精神はとても素晴らしいと思うが、
（出版社の意図もあるであろうが）本のタイトルといい、
なんだか与沢翼系に思えてしまう。

　不動産投資方法は多岐にわたるので、
ノンバンクにそもそもご縁がない人にはあまり響かない部分も多い。
著者も属性の低いころの手法のままではなくなってきた時、
利回りばかりでなく、
都心の資産性の価値にも気づく時がくるのかなとも思う。

この本の中にはそのようなくだりはなく、
ひたすらキャッシュフローである（もちろんキャッシュフローは事業が成り立つ前提ではあるが）。

　文中に出てくる「不動産投資は管理会社に賃貸経営を任せて所有と経営の分離ができる」という部分も、
言葉の使い方に疑問を思うのは私だけでしょうか。
管理会社に任せられるのは管理業務にすぎず、
大家が所有もし経営も担っているものと思う。

　また、
著者の所有物件を見る限り、
築年数が古く、
駅からも遠かったり、
金利も高く、
長い目で見たときのリスクは高く、
たとえ目の前のキャッシュフローが今よくても、
私なら同じ状況下なら、
高価な服を着て、
海外旅行に飛び回れる気分にはとてもなれない。

　出口戦略なんて考える必要があるの？というようなくだりもあるが、
人生何が起こるかわかりません。
一生保有するつもりでも、
あらゆるリスクも考慮する必要があると思う。

　事業である以上、
大きく儲けたつもりでも、
後々に大きく損をする場合もあり、
著者の経営者としての本当の真価はこれから問われるのではないだろうか。