溢れ出す心

まずこの作品は文句なしの★5だと言いたい。


恋愛ものと聞いて肌に合わないかな？と思い私はこの劇を観劇に行かなかった。

そしてもう一つ、
前年の大作『LILIUM』を越えることはないだろうという見立てがあったのも観劇に行かなかった理由だ。


しかし、
レビュー等での高評価を見てこのDVDを手に取ってみた。


SF世界での物語、
封建的な世界でのお告げや特殊能力といったファクターがありながら物語自体はストレートに頭に入ってきた。

特殊な世界観やファクターというのは物語を成立させる為の道具に見えてしまうことがあるがこの作品ではそう感じなかった。

それはこの作品が描きたいもの、
描きたいテーマにハッキリとした一本筋が通っていたからだと思う。

この物語は登場人物達の抱く『想い』が主であって様々なファクターも自然にそこに溶け込んでいたのだ。


脚本は無駄なく、
見事に描きたいものを描けていたと思う。

各々の想いをより濃く描く為に視点を分割したα、
βの補完関係も上手くいっている。

LILIUMのような様々な謎を散りばめ、
想像させるタイプの作品とは全く違うベクトルでの完成度の高い作品だ。


何より、
登場人物達がそれぞれ抱いていた想い・・・それが擦れ違ったり、
交わったりする様は心に響くものがあった。


演技面を見ると石田亜佑美は従来彼女が演じていたのとは全く違うタイプの役に挑戦し、
見事にモノにしていた。

だーいし感を消した『サクラ姫』がそこに居た。
まさに主演の名に恥じない好演。


この作品をDVDで観ることが出来て本当に良かった。

だって劇場でオッサンが泣いてる様を見られたら恥ずかしいですからね（笑）

溢れ出す心、
それに私も触れてしまったようです。