懐かしのトレインマーク大行進、の力作

ＪＲ化後、
各社独自デザインの車両が競うように投入され、
車両を見れば列車名がわかる、
みたいな状況が増えた反面、
トレインマークはめっきり減ってしまった。

本書では、
書名に相応しく、
古き良き時代を彩った列車たちとそのトレインマークを一堂に集め、
懐かしむことができる。


80年代に始まった、
いわゆる“絵入り”のマークが大半だが、
151系『こだま』や581系『月光』など、
歴史的に重要な列車では、
文字だけのマークも紹介されている。

いわゆるブルトレに多い、
円いヘッドマークもしっかり押さえている。
キハ82系で運行されていた『北斗』や『ひだ』『南紀』などのマークは逆台形と、
こだわりが素晴らしい。

特急がほとんどだが、
165系『アルプス』や475系『くずりゅう』『立山』など、
急行のマークも多く採り上げられており、
オールドファンには何となく“くる”ものがある。
若いひとにはきっと新鮮だろう。


限られた誌面の中で、
トレインマークとは縁のなかった50〜70年代の客車急行や準急、
たとえば『高千穂』や『おが』『八甲田』などなどが、
かつて走っていた“愛称つき”列車として取り上げられているのも嬉しい。


残念なことに誤植が目立つ。
四国島内しか走ったことがないはずの『いしづち』の説明に「大阪発着で始まり・・・」とあったり、
『すずらん』が「山線唯一の特急」と紹介されていたり・・・。

コンパクトに纏められた運行データにも、
いちいち細かくチェックしたわけではないが、
日付など、
「これはほんとうかな？」と思える記述が散見される。


オールカラー、
にもかかわらずリーズナブル。
これらの点は高評価できるが、
解説文体のクセにやや違和感を覚えたのと、
校正の甘さの分だけ、
★１個減点。