シューベルト入門には良い本

シューベルトの生涯を知るうえで、
とっかかりとしてまずまずの本だと思う。
どういった友人がいたとか、
どういった人物が影響を与えたかとか、
どういう女性に恋したとか、
そういったことはだいたい網羅されている。


時間軸がぐちゃぐちゃだとうレビューもあるが、
確かにそういった箇所は多いものの、
多少の前後はあっても、
それほどあっちこっちに年代が飛躍しているわけではなく、
おおむね時系列にシューベルトの生涯が追われている。


一方で、
作品の解説は皆無と思ったほうが良い。
リートの一覧表や、
室内楽は何年に集中している等といった説明はあるが、
作品の中身の解説は全くない。
たとえば、
「この曲のこの箇所は美しい」とか、
「この曲はシューベルトの悩みを表しているようだ」とか、
そういった類の記載は一切ない。
物足りない感もあるが、
好意的に解釈すれば、
主観を排し、
ひたすら事実の紹介のみを追求した結果といえるかも知れない。