安倍政権成立の功労者三橋氏による強烈な安倍政策批判

三橋貴明氏はネット上および著作活動を通じて、
安倍政権の3本の矢（特に第一、
第二）政策に賛同し、
政権成立に貢献したのであるが、
消費税増税決断の頃から、
約束された「瑞穂の国」政策に反するとして強烈な安倍政策批判を始めた。
本書は全巻読みどころ満載であるが、
評者の独断と偏見で要点をまとめると以下のようである。


１．米国一強の世界G1がG0.5に変質し、
世界経済の動向は変化している
　時代の主流はグローバル経済から国民経済へ移りつつある
安倍総理は周回遅れのグローバリスト

２．失速するアベノミクスへの提言
GDP微増ではデフレ脱却とはいえず、
株価上昇（変動）は実体経済と無縁
金融緩和（第一の矢）だけでなく財政（第二の矢）の強化が必須
公共事業は将来世代のため、
削減は国家的自殺
人手不足対策には、
生活保護に流れた日本人を現場に
非正規雇用をやめ、
国民の所得を増やせ
東京五輪でナショナリズムと公共投資を取り戻し、
「日本ダメ論」を潰せ

３．消費税増税の崖を克服せよ
　8兆円の増税に対して5.5兆円の景気対策では不足
　デフレは貨幣現象（新古典派）でなく総需要不足（ケインズ派）である
現状では所得は増えず物価が上昇するだけ、
解決策は政府による所得創出
無条件法人税減税は国民の雇用・所得（GDP）を増やさない
「国の借金」問題など存在しない、
財務省のプロパガンダだ
　いわゆる「国の借金」は日銀の国債買い入れにより減り（相殺され）つつある！
日本国は世界一の金持
　財政再建はデフレ脱出が先決、
所得増から税収増を目指せ

４．一般国民が損をする構造改革の正体
　改革で儲けるのはレントシーキング企業
　構造改革・自由化で狙われる農業・医療・電力サービス等の公共サービス
　売る側が決めた法外な電力価格、
自由化で電気料金は上がる
「特区構想」は日本の安全保障への脅威
一部官僚と民間議員に偏る官邸主導は議会制民主主義の軽視